「自分だけやってないかも…」その焦りは自然なこと
SNSや友人との会話で「つみたてNISA始めたよ」「毎月コツコツ積み立ててる」という話を聞くたびに、なんとなく焦ってしまう——そんな経験はありませんか?
この感覚には名前があります。FOMO(フォーモ)、英語で「Fear Of Missing Out(乗り遅れることへの恐怖)」と呼ばれる心理状態です。投資の世界では「みんなが始めているのに自分だけ損している」という思い込みを生みやすく、冷静な判断を狂わせる原因になります。でも安心してください。今この記事を読んでいるあなたは、すでに「立ち止まって考えられる人」です。
「今すぐ始めないと損」は本当か?
つみたて投資(毎月一定額を投資信託(株や債券などをまとめた金融商品)などに積み立てていく方法)は、確かに長期間続けることで複利(利息にも利息がつく仕組み)の恩恵を受けやすいとされています。
しかし、「1日でも早く始めるべき」という考えには落とし穴があります。
投資には元本割れのリスク(投資したお金が減るリスク)が伴います。たとえ長期投資でも、途中で急にお金が必要になって「やむなく売却」した場合、損失が確定することがあります。また、生活費や緊急予備費(急な出費に備える手元資金)が十分でない状態で投資を始めると、相場が下がったときに精神的・経済的に追い詰められるリスクがあります。
友人が始めているタイミングと、あなたが始めるべきベストなタイミングは、必ずしも同じではありません。
投資を始めるタイミングが「人による」理由
| チェック項目 | 投資に向いている状態 | 注意が必要な状態 |
|---|---|---|
| 緊急予備費 | 生活費の3〜6か月分が手元にある | ほぼゼロ、または不安定 |
| 負債 | 高金利の借金がない | 奨学金・カードローンが重い |
| 収入の安定性 | 毎月の収支がおおむね把握できている | 月ごとの収支が大きく変動する |
| 投資に回せる余剰資金 | 毎月少額でも無理なく出せる | 投資額を確保すると生活が苦しくなる |
※ 上記はイメージです。個人の状況によって判断は異なります。専門家への相談もご検討ください。
上の表は、あなたの今の状況を確認するためのヒントです。全て「向いている状態」でなくても問題ありません。「注意が必要な状態」が複数当てはまるなら、まず家計を整えることが先決です。それ自体が、将来の自分への立派な投資です。
投資を始める前に確認したい「家計チェックリスト」
以下の項目を正直にチェックしてみましょう。
- 毎月の収入と支出を把握できているか 家計簿アプリや手帳で確認する習慣をつけましょう
- 緊急時に使えるお金(普通預金など)が最低でも数か月分あるか 金額の目安は生活スタイルによって変わりますが、一般的には生活費の数か月分が望ましいとされています
- 高金利の借入(消費者金融・カードローンなど)がないか 高金利の借金がある場合、投資リターンより返済コストの方が大きくなるケースが多いとされています
- 毎月「なくなっても今すぐ困らないお金」が確保できそうか 投資に回すお金は「使う予定のないお金」に限ることが基本です
このチェックを飛ばして「とにかく始める」と、相場が下落したときに不安から焦って売ってしまい、損失を確定させてしまうことがあります。これは「狼狽売り(うろたえて売ること)」と呼ばれ、長期投資の恩恵を受けられなくなる原因の一つとされています。
FOMOに流されない「自分軸」の持ち方
友人が投資を始めたこと自体は素晴らしいことです。ただ、あなたとその友人では、収入・支出・家族の状況・将来の目標がまったく違います。投資は「みんながやっているから」始めるものではなく、「自分の目的とリスク許容度(どこまで損失に耐えられるか)に合っている」と判断できてから始めるものです。
なお、つみたてNISAやiDeCoといった制度は、税制上のメリットがあるとされていますが、非課税枠や拠出限度額は執筆時点の情報です。制度は改正される場合があるため、最新の情報は金融庁・厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
今日から始める一歩
まず家計簿アプリを1つ入れて、今月の収支を書き出してみましょう。
無料で使えるアプリは多数あります。投資の前に「自分のお金の流れを知る」ことが、最もリスクの低い第一歩です。家計を把握できたとき、初めて「いくら、いつから投資に回せるか」が見えてきます。焦らず、自分のペースで進んでいきましょう。